整形外科リハビリテーション学会における資料引用ガイドライン

(2024年11月 改訂)

 

 

第1 基本的な考え方

他者の論文等の著作物は,著作権法上,「引用して利用することができる」(同法32条1項)とされています。これは,営利目的の有無等に関係なく適用になるルールであり,著作権法上の「引用」に該当すると評価されれば,当該著作物を利用して当学会発表の資料等を作成することは問題ないものと考えられます。

 

【参考】著作権法第32条

「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。」

 

第2 「引用」該当性の判断要素

過去の裁判例上,「引用」に該当し,著作権法違反に当たらないと評価されるかどうかは,主として以下のような要素により判断されています。

当学会において資料を用いてプレゼンテーション等を行うことを企図されている方におかれましては,以下の点にご留意ください。

 

① 明瞭区別性

(文章であれば)引用箇所をカギ括弧で囲む,一段下げる等の方法を,図表やイラストであれば,独立した枠や余白で囲む等の方法により,引用している箇所が一目で判断できるような処理を行うことが求められます。

 

② 主従関係

例えば,全部で4頁の資料のうち半分以上を同一の著作物の引用が占めているなど,実質的に,当該資料が引用著作物の有する価値に便乗しているような構成になっているような場合,この要素が充たされないと評価される恐れがあります。

当学会における資料作成につきましては,この要素の充足に関する確実性を担保するため,具体的に引用している部分の分量が,多くても資料全体の10%以下に収まることを目安としています。

 

③ 引用の目的・必要性

資料の構成内容と関連性の薄い他者の著作物を引用するような場合にこの要素が否定され,著作権法違反と評価される恐れが生じることとなります。

もっとも,当学会における資料の作成に当たっては,関連性の薄い著作物を引用するような場面は考えにくいため,この要素の充足性が問題になるケースはほとんど想定されないものと考えられます。

 

④ 出所の明示

引用が公正な慣行に合致するものと評価されるためには,引用元の著者及び引用論文名,資料名(文献名)等を記載することが求められます。

 

  ⑤ 解剖写真の引用

    解剖写真(を含む写真全般)は、被写体が何であれ、撮影時の構図、角度、配置、印影等に創作性があり、写真単体で著作物として扱われます。とくに海外の論文では、許諾が得られないこともあり、著作権侵害を指摘される可能性があります。従って、当学会としては出版社並びに著者の許諾が無い限り、学会発表時のスライド、学術誌ヘの引用を不可と致します。

 

 

 

第3 参考(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)について

近時,自身の著作物を広く社会公共の用に役立てたいという考えを持つ著作権者が,自身の著作物の利用に関して,一定のマークを用いた意思表示を行う「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」(以下「CCライセンス」という)が利用され始めています [1]

著作権者のCCライセンス表記によっては,前記の著作権法上の「引用」のルールを厳密に遵守していなかったとしても,CCライセンスの範囲内の利用であれば,著作権法違反とはならない場合があります。

CCライセンスに関する詳細は以下のURLからご確認下さい。

 

CREATIVE COMMONS JAPAN   :    https://creativecommons.jp/licenses/